シングルマン 映画のあらすじ(ネタバレ)、英語のセリフと名言、レビュー
A SINGLE MAN (2009)
シングルマン
恋人を失った男性が、悲しみと孤独に耐え切れなくなり、人生に終止符を打とうと決心する。彼の一日を描いた物語です。
とにかく映像が美しい。
愛するものを失い、生彩を欠いた日常が、生き生きとした他人と関ることで色づく。
その主人公の繊細な気分の変化が映像や音楽で見事に表現されていました。
主演のコリン・ファースが素晴らしいです。
激しい悲しみや絶望を心の奥に秘めながら、厭世的に淡々と時間をやり過ごしていく。
時々彼が垣間見せる、心の防御のとれた笑顔やくだけた表情に、大人の男性の色気がありました。
映画のあらすじ(ネタバレあり)
大学教授の同性愛者のジョージ(コリン・ファース)は、最愛の恋人・ジムを交通事故で失ってしまいます。
彼はそれ以来、深い喪失感から立ち直れないでいます。
ジムと共に暮らした家で思い出ばかりがよみがえり、孤独感に苛まれています。
彼は今日こそそんな日常に終止符を打とうと決心し、そのための準備を進めていきます。
英語のセリフと名言
ジョージがその日の朝、自分の心境を独白するセリフです。
sink 沈む
drawn 溺れる
breathe 息をする
haze 靄
behind haze 靄の向こうで
彼は自分の心境の辛さを語り、「今日は違った一日にしようと決めた」と心の中で言います。
つまり、彼は自分で自分の人生を終わらせようと決めたのでした。
彼は銃と弾を用意し、遺書を書き、物を整理します。
そして今日を最後の一日と決めて、仕事に出かけます。
いつもと同じ一日だけれど、最後であると決めたことで、その日はいつもと違った色彩を帯びた日になります。
彼は思っていることを人に率直に言い、大学の講義でも、生徒達に自分の信条を語りかけます。
熱心な生徒であるケニー(ニコラス・ホルト)という青年が、ジョージのいつもと違う雰囲気に気がつき、彼のことを心配します。
ケニーは元々ジョージに惹かれるものがあったらしく、大学を離れたところで会ってみたいと思っていたのでした。
ケニーはその夜バーでジョージに会い、二人は話をします。
ケニーは自分が孤独を感じていることをジョージに打ち明けます。
そのセリフです。
born 生まれる
seal in 閉じる、封をする
be sealed in~ ~に閉じ込められている
「人は1人で生まれ、死んでいき、生きている間は自分の体に閉じ込められている」
生きていくことに強い孤独を感じている繊細なケニー。
ケニーに対してジョージは同意を示しながらも、こう答えます。
ジョージのセリフです。
worthwhile 値打ちのある、やりがいのある
ジョージのこの言葉が心に残りました。
ジョージにとって、ジムとの関係が「他人と真に繋がり合う」ものでした。
それを失ってしまった今、絶望感しか抱けなくなっている。
でも自分に興味を抱き、心から心配してくれている青年・ケニーの存在が、ジョージの心境を変えていきます。
彼にとってケニーは年若い教え子であり、愛することはできないのですが、孤独を抱えている二人の心が一時的に交流を持つのですね。
人が孤独であること、その痛み、他人と関ろうとしても関りきれないもどかしさ、そういった心情が、格調高い映像によって痛切に伝わってきました。