愛を読むひと 映画の英語のセリフ、あらすじ(ネタバレ)、レビュー
愛を読むひと
(2008年)
第二次世界大戦後のドイツを舞台にした物語。
15歳の少年が、20歳以上も年上の女性と出会い恋に落ちます。
その恋は彼の一生にわたって続く運命的なものとなります。
青い夕暮れの中を進む路面電車や、生活感のあふれる女の部屋、田舎の寂れた教会など、映像が素晴らしく、作品の世界観を作っていました。
ケイト・ウィンスレットの細やかな演技も秀逸です。
主人公たちはドイツ人という設定ですが、全編に渡って英語のセリフの脚本となっています。
英語のセリフを紹介するブログですが、この重厚な物語は、できればドイツ語で観たかったように思います。
映画のあらすじ(ネタバレあり)
15歳のマイケル(デヴィッド・クロス)は学校からの帰りに気分が悪くなり、通りすがりの女性に助けられます。
後日そのお礼に女性を訪ねたマイケルは、彼女のミステリアスな雰囲気に惹かれます。
マイケルは彼女の部屋を再び訪れ、彼女と肉体関係を持ちます。
マイケルは彼にとって初めての女性であるハンナ(ケイト・ウィンスレット)との情事に夢中になっていきます。
やがてハンナはマイケルに、「本を読んで」と頼みます。
彼は学校で使う小説をハンナに朗読します。
英語のセリフ
ハンナは「本を読むのが上手ね」とマイケルを誉めます。
その会話のセリフです。
be good at~ ~が得意である
マイケルは彼女が喜んでくれたのが嬉しく、それ以来、会うたびに本を彼女に読み聞かせるのが日課となります。
しかし、あまりにも年の差のある彼らの関係。
ハンナは彼を愛しながらも、初めから深入りしすぎないように彼と距離を置こうとしている様子です。
でも初めての恋に夢中であるマイケルには彼女がなぜ冷たいのか理解できない。
その二人のすれ違いが切ない…
やがて彼女はこのセリフを彼に言い残し、彼の前から姿を消してしまいます。
ハンナが消えてしまったことで、マイケルは深く傷つきます。
それから8年後。
法学生として法廷を訪れた彼は、思いがけずハンナとそこで再会をすることになります。
彼女は彼と別れた後で、ナチスの強制収容所で看守として働いていました。
そのためユダヤ人の殺人罪に問われて、被告として裁判に出ているのでした。
裁判が進むにつれて、彼女はある秘密を必死に隠そうとしていることに気がつきます。
それゆえに過酷な刑罰が科されることになったとしても…。
なぜなら彼女はその秘密を恥じているから。
マイケルだけは彼女の秘密を知っていますが、彼女の気持ちを思うと真実を話すことができない。彼はその葛藤に悩まされます。
結局彼はそのことを誰にも言えずに、ハンナには無期懲役の刑が下されます。
刑を宣告された瞬間に、マイケルの方を振り返るハンナ。
マイケルは刑務所にいる彼女に何年もの間、本の朗読をしたテープを送り続けます。
テープを受け取ったときの、ハンナの喜びに輝く嬉しそうな表情が心に残っています。
彼の送るテープは、刑務所で生活する彼女の心の支えとなります。
20年の月日が過ぎ、ハンナの出所する日がやってきます。
身寄りのないハンナの唯一の知人として、マイケルはとうとう彼女と面会することに。
そのシーンの二人の会話のセリフです。
grew up 大人になる、成長する
tailer 仕立て屋
「たくさん本を読むのだろう?」
そうマイケルに聞かれて、彼女はこう答えます。
prefer ~の方を好む
be over 終わる
「本を読んでもらう方が好きだわ。でもそれはもう終わったのね?」
本を読んでもらうことが、何年もの間のマイケルと彼女との”つながり”だったのですね。
でも彼女が出所することによって、その関係は終わりとなってしまう。
それを確かめたときの彼女の表情が哀しい…
彼女は自分で人生を終わらせる道を選びます。
私には最後の再会シーンでのマイケルの頑なさが理解しにくかったのですが、どんなに愛していたとしても、ハンナを許すことが出来ないほど、ドイツ人のアウシュビッツに対する感情は深いものなのかもしれません。
彼女のしたことを決して許せなくても、本の朗読をすることで牢獄にいる彼女に寄り添う愛の物語に感動しました。