ザ・ロイヤル・テネンバウムズ 映画のあらすじ(ネタバレ)、英語のセリフと感想
THE ROYAL TENENBAUMS
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
ウェス・アンダーソン監督の作品です。
「ダージリン急行」の人ですが、独特のおかしみのある作風が好きです。
この監督の作品はファミリードラマが多いように思いますが、この「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」も一風変わった家族・テネンバウムズ一家を描いた物語。
テネンバウムズ家の3人の子供たちはみんな天才児だった、
でも大人になった今では何だか冴えない普通の人、という設定が面白いです。
そんな家族を見捨てて家を出てしまった自分勝手な父親が、家族と和解したくて家へ戻ってくるというお話。
彼はそれぞれに問題を抱える子供たちの力になろうと奮闘します。
そのやり方はかなり不器用でずれているのですが…。
独特のユーモアや、滑稽な物語の運び方がおかしい。
アンティークな絵本をめくっているかのような味わいのある映像の雰囲気が良い感じでした。
映画のあらすじ(ネタバレあり)
テネンバウムズ家の3きょうだいは、子供時代はそれぞれビジネス、文学、スポーツに秀でた才能を持った天才児としてもてはやされていました。
しかし30代の大人になった今では、もはや天才ではなくなっていて、それぞれ問題を抱えています。
長男のチャス(ベン・スティラー)は奥さんを飛行機事故で失って以来、被害妄想にとりつかれている。
長女のマーゴ(グウィネス・パルトロウ)は年の離れた夫と結婚しているけれど、その生活は無気力で、一日のうち何時間もバスルームにひきこもっている。
次男のリッチー(ルーク・ウィルソン)は姉のマーゴに密かに恋心を抱き、彼女のことを忘れられないでいる。
マーゴは養子なので、血は繋がっていないのですが…。
そんな彼らがまだ幼かった頃に家族を見捨てた父親・ロイヤル(ジーン・ハックマン)が突然、家族と和解したいという思いを抱き、家へ帰ってきます。
英語のセリフと名言
しかし、長年家族を放っておいたロイヤルが、そうすんなりと受け入れてもらえるはずもありません。
そこでロイヤルが思いついたのは、自分がガンを患い、残り少ない命であるため、家族と共に過ごしたい、と嘘をつくことでした。
ロイヤルが子供たちに向かって言うセリフです。
長男のチャスは「いつまでもつんだ?」と冷めた反応…。
ロイヤルは引き続き、彼らに語りかけます。
Let me get to the point.
要点を言わせてくれ。
set things right 物事を(あるべき状態に)正す
aim to ~ ~を目指す、志す
「今までの償いをしたい。私にチャンスをくれないか?」という父親に対し、即座に拒否反応を起こす長男・チャス。
そしてマーゴとリッチーも戸惑いを隠せません。
しかしロイヤルの「残り少ない命である」という嘘は功を奏して、とりあえず家へ置いてもらえることになります。
次男のリッチーはロイヤルに対して一番同情的です。
彼が家族に父について言うセリフです。
let on 口外する、もらす
このリッチーのセリフには、「本当にそうなのかもしれない」と頷けました。
とにかく家へ置いてもらえることになったロイヤルは、曲がりなりにも彼なりのやり方で、問題を抱えた子供たちの助けになろうと奮闘します。
ロイヤルは元妻のエセル(アンジェリカ・ヒューストン)に、子供たちを育ててくれたことについて改めてお礼を言います。
ロイヤルとエセルの会話のセリフです。
put ~ first ~を優先する
fail 失敗する
「(天才児だった子供たちを)損なってしまったのは私だ、それか誰のせいでもないんだ」
というロイヤル。
さらに彼らの会話の続きです。
grit 勇気、気概
ロイヤルはこれまで家庭を見捨てて顧みなかったことを恥じているといい、元妻のエセルのことを褒め称えます。
エセルを演じるアンジェリカ・ヒューストンがとても美しく、堂々とした存在感があります。
ロイヤルが grit,fire and guts のある女性だと言うのも、納得です。
ロイヤルは家庭の中に入り込んで、エセルとの仲もやり直したいと思っているのですが、もちろん、そんな都合良くはいきません…
自分勝手で傲慢なロイヤルが、家族の問題に介入していき、時にトラブルを引き起こす。その様子が滑稽に描かれています。
テネンバウムズ家の面々と、彼らを取り巻く人々のキャラクターがみんな個性的で際立っていて面白かったです。
血の繋がっていない姉弟、マーゴとリッチーの恋愛エピソードが特に印象的で、切なかったですね。
やがてロイヤルが家族についていた嘘がばれてしまうのですが…
嘘がばれて、家族に責められたロイヤルが言うセリフです。
家族と共に過ごした6日間は人生において最良のときだったというロイヤル。
エピソードは風変わりで物語の基調はユニークでも、描かれているテーマは家族の愛情と絆という普遍的なもの。
自分勝手に生きているようでも、家族というのはブーメランのように結局元のところに戻って来るものなのかもしれない。
そんなことをしんみりと考えさせられたラストでした。