愛する人 映画のあらすじ(ネタバレ)と英語のセリフ、名言
MOTHER AND CHILD (2009)
愛する人
お互いを想いながらも実際に会うことのなかった、母と娘の不思議な絆を描いた物語です。
女性の心理がきめこまやかに描かれた、悲しくも美しくて力強い作品。
主演のアネット・ベニングの繊細な演技がすばらしかった。
心に悲しみを秘めた神経質そうな女性が、物語の終盤にどんどん光り輝いて美しくなっていく様子に惹きつけられました。
映画のあらすじ(ネタバレあり)
カレン(アネット・ベニング)は14歳で妊娠し、娘が生まれてすぐに養子に出さなければなりませんでした。
その後37年が経ちますが、カレンは会ったことのない娘のことをずっと想い続けています。
カレンは独身。
娘を想うことだけが彼女の人生であるかのようで、自分の人生の幸せのことは考えていない様子です。
あるとき、職場で出会った男性・パコが彼女に興味を示し、親しくなろうと話しかけてきます。
英語のセリフ
カレンはパコが興味を持ってくれたことに驚き、嬉しくなりながらも、なかなか素直に気持ちを表せません。
彼女が彼に言うセリフです。
demand 要求する
unfair 不公平な、ずるい
disappoint 失望させる
take ~ by surprise ~をびっくりさせる
attention 注意、注目
自分の気難しさをパコに打ち明けるカレン。
さらに彼女は、自分が14歳のときに女の子を産んだこと、その子は生まれてすぐに養子に出されたことを彼に話します。
カレンのセリフです。
look for ~を探し求める
take ~ back ~を連れ戻す
crowd 群集、人ごみ
「どこへ行っても、何をしていようとも、あの子のことを考えてしまう」
会ったことのない娘に対するカレンの愛情が伝わってくる切ないセリフです。
「他には何もないの。それが私という人間なのよ」
真摯に自分自身について打ち明けるカレンを、パコは優しく受け入れます。
自分を理解してくれる男性とであったことで、頑なだったカレンの表情が柔らかになり、生き生きと輝いていきます。
パコは「娘さんを探すべきだよ。彼女も君に会いたがっているかもしれない」とカレンを説得します。
カレンは娘に拒絶されることを恐れながらも、彼女を探す決心をするのでした…
一方で、養子に出された娘の方のエリザベス(ナオミ・ワッツ)は有能な弁護士として働いています。
彼女は経済的に自立しているけれども、他人と深く関ることを避けて、孤独な生活を送っていました。
彼女の微笑みには常に孤独な影がある。
そんなエリザベスを、ナオミ・ワッツが美しくミステリアスな雰囲気で演じています。
彼女は上司のポールと親密になります。
ポールは彼女に「本当のお母さんを探そうとは思わないのかい?」と尋ねます。
エリザベスはこう答えます。
how hard can it be?
難しいはずがないでしょう、というニュアンスで使われています。
エリザベスがこの街に住んでいるのは、実の母のホームタウンであるからなのですね。
「離れている方がいいのよ」
そう強がる彼女も、心の奥では母親を求めていて、どこへ引っ越しても結局はこの街に戻ってきてしまう。
その彼女の心情を思うと切ないのです…
エリザベスはポールと肉体関係を持ち、妊娠します。
彼女は誰にも頼らず一人でその子を産み育てる決心をしますが、「生まれてくる子に出自を教えたい」と思い、実の母に手紙を書くことにします。
その手紙に記された彼女のメッセージです。
If we are to meet
私達が会うことになった場合は
look forward 前を見る
「過去ではなく、未来を見て新しい関係を築きましょう」
希望に満ちた言葉ですね。
母のカレンがこの手紙を読んだらどんなに喜ぶことか…
しかし二人の運命は引き寄せられつつも、交わることのないまま悲しい結末を迎えてしまいます。
でも新たな命の誕生が希望の光となり、新たな未来へつながる二人の絆となる。
命の絆の温かみを感じさせるラストに、胸がじんとしました。