ブロークバック・マウンテン 映画のあらすじ(ネタバレ)、英語のセリフ、名言
ブロークバック・マウンテン
(2005年)
アン・リー監督による、男性同士の恋愛を描いた名作映画。
この映画の舞台となっている1960~70年代は、アメリカでもまだまだ同性愛が世間で認知されていない時代だったのですね。
主人公のイニスとジャックは自分がゲイであるとは思っていなくて、普通に結婚をして家庭を持つ人生を思い描いていたけれど、運命的に出会ってしまったことで、激しい恋に落ちることになる。
愛し合い、お互いを求め合いながらも、決して結ばれることのない二人。
ブロークバック・マウンテンの美しく雄大な風景とともに、彼らの物語が切なく胸に迫ります。
映画のあらすじ(ネタバレあり)
カウボーイのイニス(ヒース・レジャー)は、ある夏に、ブロークバック・マウンテンで羊の放牧をする仕事に雇われます。
もう1人のカウボーイ、ジャック(ジェイク・ギレンホール)とコンビを組むことに。
無口で物静かなイニスに、明るく社交的なジャック。
対照的な性格の二人でしたが、厳しい大自然の中で、協力して仕事をするうちに、信頼関係を築いていきます。
美しい山の景色に包まれて、二人が仲良くなり伸び伸びと働く姿は清々しい。
でもいつしか二人の抱いている気持ちは友情を越えた何かになっていき、彼らは愛し合うようになります。
彼らは自分達の間に生まれた関係に戸惑います。
でも同性愛など考えられない時代。
人に知られたら、社会的な破滅が待っている。
だから愛し合ってはいても、関係を続けることは出来ない。
夏の仕事が終わって、ブロークバック・マウンテンを去るのと同時に、二人は別れます。
英語のセリフ
イニスとジャックはそれぞれ結婚をし、子どもを持ちます。
しかし彼らはブロークバック・マウンテンで過ごした夏のことが忘れられません。
そして4年後にとうとう再会を果たした二人は、まだ愛し合っていることを確かめ合います。
再会シーンでのジェイクのセリフです。
ranch 牧場
It could be like this,always.
「ずっとこんな風でありえるんだよ」
4年ぶりに再会し、一緒にいるときが一番幸せだと実感した二人。
What if ~ ?
は ~したらどうかな? という意味で使われるフレーズです。
ジェイクは「小さな牧場を経営して、一緒に暮らそう」と持ちかけますが、イニスは「そんなことはできないよ」と答えます。
イニスのセリフです。
no way
絶対ありえない 強く否定したいときに使われます。
イニスは同性愛が世間に知られることをひどく恐れています。
子どもの頃にゲイのカップルがひどい目にあって殺されたのを目撃したことが彼の心の深い傷となっているのでした。
「世間に知られるのではないか」という不安が現れたイニスのセリフです。
suspicious 疑い深い
pavement 舗道、歩道
「みんなが知っているかのように見られている気がする」
イニスのこの言葉には、彼が常に脅かされ、心の休まることのない不安を感じていることが表れています。
最愛の人がいながらも、結ばれることは決してできない。
イニスはますます寡黙で、頑なな性格になっていき、奥さんのアルマ(ミシェル・ウィリアムズ)とも心が通い合わずに別れてしまいます。
イニスとジャックは”釣り仲間”として山でたまに会い、一緒にキャンプをします。
年に数回だけ、二人でいられる時間を持ちます。
その時間だけは本当に幸せそうな二人。
でもジャックは「十分な時間がない」と不満をぶちまけます。
ジャックのセリフです。
quit やめる
ここでは、「お前と別れる」という意味で使われています。
「お前と別れる方法がわかったらいいのに」というジャックに対し、イニスは泣き出しそうになりながらこう答えます。
イニスのセリフです。
let ~ be ~をそのままにしておく、放っておく、という意味
深い悲しみのこめられたイニスのセリフには涙を誘われました。
I'm nothing.
I'm nowhere.
ジャックを愛するあまり、家族とも気持ちが通じ合わずに、家庭を失ってしまった。
ジャック以外の誰にも心を許すことのできない彼の人生…
でもジャックとはたまにしか会うことができない。
悲劇的で、痛ましく感じられます。
でもそれでも、彼らがそこまで深く愛する相手を人生において得られたのは、とても幸せなことだったのではないかと思いたいのです。
主人公の二人と、彼らの妻たち、イニスの娘など、登場人物たちの感情がきめ細やかに描かれた、心理描写にすぐれた映画だと思います。
美しくもどこか荒涼とした映像とともに、いつまでも心に残る物語。